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緩和ケア(その2)

「緩和ケア」はいつから受けたらいいのでしょうか?

「緩和ケア」と言われると、癌の末期に受けるものと思われている方が大勢おられます。「緩和ケア」と言われたらおしまいだ、「緩和ケア」はまだ早いと思う、「緩和ケア」はまだいらない・・・このように言われる方が非常に多いです。しかし、前回のブログでお伝えしたように、「緩和ケア」とは、癌に伴う様々な症状を治療し、看護、介護することです。よって、末期にだけ必要なものではありません。

例えば、大腸がんの手術をすると、人工肛門というものをお腹に着けることがありますが、これをつけたから末期になるわけではありません。人工肛門を使いながら、生活していく上で、時に治療が必要となり、時に看護が必要となります。それは「緩和ケア」に含まれます。

また、痛みのコントロールも重要です。痛みがあると末期だとは限りません。癌の痛み、術後の傷の痛み、あるいは、心の痛みもありますよね。このような痛みを治療することはれっきとした「緩和ケア」です。

さらに、抗がん剤治療を行う時には、様々な副作用に苦しみますが、この副作用を治療することも「緩和ケア」に含まれます。このように、癌とわかったその日から、「緩和ケア」はあなたの傍にいつも必要なものとなるのです。いい「緩和ケア」を受けることができれば、症状のコントロールができ、日常生活が送りやすくなる結果、自分らしく生活することができます。また、体調がよくなれば、希望する積極的治療(抗がん剤など)も継続しやすくなります。・・・「緩和ケア」を避けてはなりません。

さて、「緩和ケア」はどこで受ければいいのでしょうか?

抗がん剤治療などをしていると、病院内に「緩和ケアチーム」などがあり、色々な相談に乗ってもらえることがあります。しかしながら、抗がん剤などの治療をしない場合、残念ながら、病院が「緩和ケア」だけを提供することはありません。さらに、抗がん剤治療を受けていても、抗がん剤の効果がなくなったら、どこか緩和ケアをしてくれるところを探してくださいと言われます。しかしながら、緩和ケアだけを行ってくれる施設は簡単には見つからず途方に暮れるのが現状です。こうして、いわゆる「がん難民」と呼ばれる患者さんが増えているのです。

近所のかかりつけ医の先生が面倒を見てくれることもありますが、難しい症状になると対応が難しくなります。麻薬なども処方できるクリニックは限られています。日本では、まだまだ「緩和ケア」が遅れているのが現状です。途方にくれている方がおりましたら、本院と緩和ケアの提携をしています「アマニカス」のホームページをご覧ください。アマニカスは、病院でも老人ホームでもありませんが、24時間体制で、痛みや癌の「緩和ケア」を専門とする医療・看護・介護を受けられます。

院長 松永 美佳子