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ペインクリニックについて(その2)

前回は、ペインクリニックとは? という内容で書いてみました。
今回は、ペインクリニックの裏事情について書いてみます。

ペインクリニック専門医になるには、麻酔科専門医である必要があるため、まず、麻酔科の業務が必要です。大学に入ると、朝早くから、夜遅くまで、手術室で黙々と麻酔をかける仕事に携わることになります。患者さんは意識なく麻酔がかかっているし、手術場であまりしゃべることもないので、ペインクリニック外来などとは、程遠い世界でもあります。そうした集団の中で、痛みのコントロールに興味を持った医師たちが痛みの専門医になっていくわけです。

しかし、一人前になるのは、非常に狭き門です。なぜなら、いつも麻酔をかける業務が基本にあるからです。麻酔業務とは別に、専門医の道が用意されているのではなく、勝手にどうぞ的な感じでもあります。勝手にどうぞと言われても、注射は訓練が必要ですし、勝手に注射するわけにもいきませんので、どなたか上手な先輩方に指導を仰ぎたいところですが、病院はいつも麻酔業務を重要視しますので、麻酔業務を減らして、ペインクリニックの技術を学ぶために時間をあけてくれるようなことはありません。私が若かったころは、いつかペインをさせてくれると医局が言って、冷や飯を何年も食わされたあげく、結局勉強させてくれず、医局を辞めていく先生方がよくおられました。そんな中で、どうしても学びたい人は、四苦八苦しながら勉強したものです。見学、研修などめったにない機会を大事にして、少しずつ、自分で勉強していきました。

最近は、もっと事情が悪くなり、昔より世の中は麻酔科医不足になりました。その結果、病院の中は、たとえ、ペインクリニックの技術を持った医師が勤務していても、その先生がペインクリニック外来に携わる時間はほとんどなくなり、下の先生がその先生の外来について、勉強させてもらうことなどできなくなりました。病院は、麻酔科外来を閉鎖し、すべての麻酔科医を手術場に集めようとします。痛みを取る外来より、手術のほうが儲かりニーズも大きいからです。

こうして、今の若い先生方は、ペインクリニックを習得することが非常に難しくなりました。技術を持ったペインクリニック専門医は、麻酔業務一色の病院勤務に嫌気がさし、開業していきます。開業すると、若い先生を指導することはほとんどありません。高齢化社会となり、痛みを抱える人たちはどんどん増えています。我慢強いことが美徳とされてきた日本人も、ほんとは痛みを取って自分らしく生活したいと思っています。

ペインクリニックの技術は、今の高齢化社会にはなくてはならない大切な技術ですが、大学も市民病院も、若い先生を指導する任務を充分果たすことができなくなっています。大工さんなどの技術職も後継者がいなくなって困っておられますよね。あれと一緒ですね。お金にならなくても、時間がかかっても、育てていく文化はいつまでも大事にしないと、薄っぺらい社会になると思います。世の中には、目の前の利益ばかり追う社会のひずみがたくさんでている気がしますが、みなさんはどう思われるでしょうか。

院長 松永 美佳子

ペインクリニックについて(その1)

ペインクリニックという言葉をご存じでしょうか?

当院のホームページをご覧の方でしたら、当然知っているのではないかと思いますが、世の中では、あまり理解されていない言葉ではないでしょうか?

仕事で他院に電話して、受け付けの方に「千里ペインクリニックの松永ですが」と言うと、たいてい、ペインクリニックという言葉が通じないため、何度も言い直すことになります。また、今まで1,000件以上患者様のご自宅を訪問してきましたが、ピンポーンとインターホンを押して、「千里ペインクリニックの松永ですけど~」と言うと、「えっ、クリーニング屋さん?要りません」と言われたりしました。「いえいえ、ペインクリニックの・・・」「えっ、クリーニング屋さん?要りませんよ」「いえいえ・・・ちょっと待って」なんて会話があったりしました。15年も開業していて、ペインクリニックという言葉がやっと最近になって通じやすくなってきたなと感じていますが、まだまだ市民権を得ていない気がします。

ところで、ペインクリニックとは、麻酔科の中から発生した専門医集団ですが、その歴史は浅く約50年です。日本ペインクリニック学会では、痛み治療を担う専門医を育成し、1989年より「ペインクリニック専門医」として認定しています。現在、その数は1,600名近くとなり、年々増え続けています。

「ペインクリニック専門医」となるには、麻酔科を初めとする専門医を取得後、指定するペインクリニック研修施設で一定期間、痛みに関する知識と技術の習得に努める必要があります。そして、研修後は、基礎系(解剖、生理など)、臨床系(ブロック手技、薬物療法、チーム医療の実際など)の両分野に亘る試験を受けて合格しなければいけません。さらに、専門医資格を維持するため毎年、麻酔科学会に出席し、単位を集め、お金を払い苦労しています。麻酔科の専門医の資格を失うと、ペインクリニック専門医の資格までなくしてしまいます。なので、私は麻酔科医ですが、手術の麻酔を15年以上かけていません。

内科、外科、脳外科、産婦人科、泌尿器科、耳鼻科、皮膚科、眼科・・・、病院にはたくさんの専門科がありますが、ペインクリニック科を掲げている病院は非常に少ないです。ペインクリニック科とは言えず、麻酔科と掲げて中身はペインクリニックというのが一般的です。

ペインクリニックの専門医といえども、病院では、麻酔業務の傍らにペインをするといった感じで、最近は麻酔科医不足なので、どこの病院もペインクリニックは縮小傾向で、つぶれていっています。そんな暇があったら、手術場で麻酔をかけろと言うのが病院側の意見です。そんな肩身の狭い思いをするのがいやになると、開業することになります。さて、次回はペインクリニックではどんなことをするのかお伝えしましょう。

院長 松永 美佳子

嬉しい差し入れ 第3弾♪

ひときわ厳しい日差しが照りつけておりますが、皆さま、いかがお過ごしですか?
ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は事務スタッフから発信させて頂きます♪

院長から今回は手作りのレモンパウンドケーキの差し入れがありました\(^o^)/

塩漬けレモンが入ったパウンドケーキ。表面にグレーズがたっぷりとかかっています。甘酸っぱい香りのしっとりとしたケーキにシャリっとしたグレーズ。暑いこの時期にとても爽やかなケーキです。今回もスタッフでペロリと美味しく頂きました(^.^)

院長先生、ごちそうさまでした~!
そして・・・またまた次も楽しみにしています♪(*ᴗˬᴗ)

首の疾患について

頸椎と呼ばれる首の背骨は、7つの骨からなります。腰は5つでしたね。腰にヘルニアや狭窄症、椎間関節痛があるのと同じで、首にも、ヘルニアや狭窄症、椎間関節痛なるものがあります。

その他、これも腰と似ていますが、脊髄から出てくる神経の出口が変形で狭くなって、そこで神経が傷つくことによる肩や上肢の痛みもあります。変形性頚椎症という病名が付きます。変形性腰椎症も存在しますが、あまりそういった名称は使いませんね。しかし、首の場合はよく使われます。ヘルニアや狭窄症による痛みと変形性頚椎症による痛みとは、区別がつきにくいです。どちらも神経の支配領域にしびれや痛みを生じます。どちらも存在することもあり、痛みの原因が、どちらがメインがわからないこともあります。

ペインクリニックでの治療法はほぼ一緒です。血流をよくするブロック注射や神経そのものに薬を打つ神経根ブロックなどがあります。

首は常に細い首が重たい頭を支えているせいか、安静が保ちにくく、いったん神経に炎症が起きると、なかなか痛みが取れません。夜も眠れない痛みが続くことも多々あります。ブロック治療をしても十分痛みが取れず、市民病院の整形外科に手術を依頼したこともありますが、まったく相手にされませんでした。

首はとても重要な場所で、足にいく神経もすべてここを通っていきますから、万一、副作用、合併症などが生じた場合、被害が大きくなる可能性があります。例えば、歩けなくなるとか。なので、整形外科医もよっぽどではないと重い腰をあげません。痛くて眠れないくらいでメスを入れる先生は稀です。麻痺と言われるものが起こらない限りは、ほとんど手術はしません。

しかし、安心してください。神経ブロック治療を何度も継続しているうちに、ほとんどの痛みはかなり軽減し注射しなくてもよくなります。

院長 松永 美佳子

嬉しい差し入れ 第2弾♪

暑い毎日ですね。皆さま、いかがお過ごしですか?
ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は事務スタッフから発信させて頂きます♪

先月のアップルパイに続き、院長から今回はチーズケーキの差し入れがありました\(^o^)/

表面にこんがりと焼き色が付いた院長手作りのチーズケーキ。とても香ばしく、しっとりと濃厚なお味です。スタッフでペロリと美味しく頂きました(^.^)

院長先生、ごちそうさまでした~!
そして・・・また次も楽しみにしています♪(*ᴗˬᴗ)

仙腸関節痛について

3回ほど腰痛の主な原因について述べましたが、もう一つ、ぎっくり腰の原因になる疾患について述べるのを忘れていました。仙腸関節痛です。

人間には、骨盤という骨がありますが、仙骨と腸骨、恥骨から成り立ちます。そのうち、腸骨と仙骨が重なり合っているところが、仙腸関節です。左右に一つずつあります。手のひら大の大きな関節です。周囲の靭帯により強固に連結されています。年を取るにつれ、身体が硬くなり、身体の椎間関節や仙腸関節がさびるような状態になると、慢性の腰痛に発展したり、急性腰痛の原因となります。いわゆるぎっくり腰です。特徴は、腰の下のほうが痛みます。臀部に近いため、坐骨神経痛と間違われることもあります。

急性の仙腸関節炎を起こすと、ちょっと動いても痛くて動けない状態になります。ところが、仙腸関節炎は、レントゲンを撮ってもはっきりわかりません。腰椎MRIを撮ってもわかりません。どうやって診断するかと言うと、患者様の症状と仙腸関節部の圧痛により仙腸関節炎の疑いが生じると、仙腸関節ブロックを行います。レントゲン透視下で、仙腸関節を映し出し、正確に関節内に薬を注入するのです。造影剤を使用して、正しく針が入っているかどうかを確認します。ブロック後に痛みが消失すれば、仙腸関節炎で正解となり、まったく効果がないようなら診断が間違っていたということになります。

仙腸関節ブロックは、結構難しいブロックです。高性能レントゲン装置やエコーで行っていますが、レントゲンの透視下で行うほうが造影剤によって確認ができるため、エコーより正確だと思われます。関節が大きいため、十分薬液が広がらないことも多く、変形が強い関節には薬液が入りにくいです。慢性的に傷んでいると、ブロック後一時的に効果があっても、また再発しやすいです。機械で言うと、よく動かす場所が錆びて変形してしまったときは、部品交換をすれば、またうまく動きますが、人間の身体は部品交換ができないので、傷み方がひどければひどいほど、ブロックの効果も長続きしません。しかし、何回か繰り返しているうちに、だんだん良くなってくることが多いです。

関節が錆びないためには、ストレッチが大切です。日頃からよくストレッチをして、身体を柔らかくしておくと、関節も滑らかで、炎症も起こしにくいです。

腰の下のほうに痛みがあるときは、ぜひご相談ください。

院長 松永 美佳子

嬉しい差し入れ♪

ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は事務スタッフから発信させて頂きます(^.^)

先日の午後、院長からスタッフへアップルパイの差し入れがありました!
訪問診療の後、院長が手作りされたアップルパイです。

早速、事務スタッフ、看護師さん、ヘルパーさん達と休憩室で頂きました。焼きたてのアップルパイはとても美味しくて、一日の疲れが癒されました(´∀`)

院長先生、ごちそうさまでした~!
そして・・・またお願いします(・ω<)♪

腰椎椎間関節痛の治療について

みなさんはぎっくり腰とよく言われますが、それは病名ではありません。症状を表す言葉ですね。ぎっくり腰の原因はいろいろありますが、多くはヘルニアや狭窄症による脊髄の急性炎症か、椎間関節の急性炎症です。今日は、椎間関節痛についてご説明します。

腰は5つの丸い骨が縦に並んでいますが、一つ一つの骨は、椎間関節というところで結合しています。左右一つずつあります。よって合計10個の関節があるわけです。

関節とは、肘、手首、膝、足首など、曲がるところを関節といいます。腰は、椎間関節が自由に動くために、複雑な動きができるのです。小さな関節がたくさんあって、前、後ろ、左右などに自由に動いているのです。その小さな関節の中には、髪の毛のような神経が入り込んでいて、その神経が炎症を起こすと、ぎっくり腰になるわけです。機械を長年使っていると、よく動くところは変形したり錆びたりしますよね。それと同じで、人間も長年腰を使っていると、関節に変形が生じて、すべりが悪くなります。若いときは、身体も柔らかく、自由に動きますが、年を取ると、身体は硬くなり、関節はぎしぎしした動きになりがちです。摩擦が大きくなって、関節の中の神経が傷むのもわかりますね。親指の腹くらいの大きさですが、1か所炎症が起こるだけで、痛くて身動きできなくなります。顔も洗えず、トイレに入っても、おしりも拭けない状態になります。

しかし、病院を受診しても、レントゲンを見た先生方は、異常がないと言われます。MRIを撮っても異常がないと言われます。これは、レントゲンやMRIに椎間関節の異常は映らないからです。炎症が起こっていても、神経が傷ついていても、画像では異常に映りません。整形外科では、あまり椎間関節炎という概念がなく、原因がはっきり告げられないまま、鎮痛薬を処方されます。

ペインクリニックでは、痛みの経過や症状、身体所見などから、椎間関節の炎症を疑うと、レントゲン装置を見ながら、正確に、この小さな関節の中に、局所麻酔薬と炎症止めのステロイドを注射します。もし、ここが痛みの原因であれば、かなり痛みが軽減されます。

若い人であれば、それほど関節の変形も強くないため、1回ですっかり治ることもあります。しかし、高齢になると、すでに関節は「錆びている」状態なので、1回の注射ですぐ治るということもありませんが、短くても数日はずいぶん楽だったと言われる結果が得られます。もし、ここが原因ではなかったら、まったく効果がなかったという返事が帰ってきます。つまり、ブロック注射をした結果を聞いて、診断をつけていくのです。診断と治療が一緒になっています。

ご高齢者では、すぐに治ることは難しいですが、何度も治療を続けることで、やはり痛みは軽減し生活しやすくなります。

もし、ぎっくり腰になったら、ぜひ当院を受診してください。腰の痛みはとてもつらいものです。体力も消耗します。ご高齢者では、やる気もなくなり、寝たきりになってしまいます。一日も早く痛みを軽減して、元気な生活を取り戻しましょう!

院長 松永 美佳子

腰部脊柱管狭窄症のペインクリニックでの治療法について

前回は、腰椎椎間板ヘルニアについて、ペインクリニックで行っている治療法について、整形外科との違いなど説明させていただきました。腰部脊柱管狭窄症は、ヘルニアより多い疾患です。高齢になるにつれ、脊髄という一番大事な神経の周りの組織が変形をした結果、脊髄を圧迫するようになります。脊髄の周囲の血管も圧迫され、血流不足になります。脊髄から下肢に伸びていく神経も傷がつき、坐骨神経痛が起きるようになります。少し歩くと、脊髄への血流不足から、腰や下肢に痛みやしびれが起き、血流が回復するために、いったん休憩を余儀なくされます。尺取り虫のように、歩いては止まり、歩いては止まりを繰り返すようになります。

こんな時、ペインクリニックでは、神経ブロック注射を行います。
最も得意とする分野です。ペインクリニックで行う注射は、基本的に血流をよくする注射が多いです。脊髄を包んでいる硬膜外というスペースに局所麻酔薬を注入すると交感神経ブロックが起こり、腰や下肢の血流がよくなります。血流がよくなると、神経の炎症や傷が治りやすくなります。その結果、痛みが改善するのです。

薬でも、炎症を抑えたり、痛みを感じにくくする薬がありますが、様々な副作用もあり、長期的に服用するのはお勧めではありません。
ブロック治療は何度繰り返しても安全です。肝臓や腎臓、胃腸を悪くする心配はありません。脊髄の周りの変形した組織が、元に戻ることはありません。なぜなら、人間は若返ることはできないからです。
年々古くなることはあっても、勝手に若返ることはないのです。ですが、ブロック治療によって、傷めつけられている神経を修復し、少しでもいい状態で維持することはできます。古くなった機械が故障なく長持ちするように、人間の身体も、痛みがなく長持ちすることが可能となります。

医療が発達し、高齢化社会となった日本ですが、長生きしても、腰も足も痛くて、寝たきりになっているようでは、長生きしている意味がありません。いくつになっても、自分らしく生きていくために、
早くからメンテナンスを心掛け、足腰を大切にしていきたいものです。

院長 松永 美佳子

腰椎椎間板ヘルニアに対するペインクリニックの治療法

腰椎の疾患の主たるものの一つに腰椎椎間板ヘルニアがあります。
前回のブログでは、腰痛の原因には、主に3つの疾患があることを述べました。腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変形性腰椎症による椎間関節痛です。今日は、腰椎椎間板ヘルニアについてもう少し詳しく述べてみます。

ペインクリニックと整形外科で何が違うのか?
どちらも、診断をつけることから始まります。腰が痛い、足が痛いと言われる患者さんが来られると、お話しを聞き、診察し、レントゲン、MRIなどを撮って、その原因を調べます。腰下肢痛の原因がヘルニアであることがわかると、整形外科では投薬を始めます。牽引、温熱療法などもするでしょう。一方、ペインクリニックでは、神経ブロック治療を始めます。投薬も併用します。神経ブロック治療とは、脊髄の近くに局所麻酔薬を注射し、神経の周囲の血流をよくします。血流をよくすることで、神経の炎症を早く改善させ、強いては、神経の傷の治りを促進します。よって、痛みが早く軽減することになります。

急性期と呼ばれる発症して3か月程度の時や痛みが強いときは、毎週ブロック治療を行います。注射自体は毎日しても身体に毒はありません。しかし、保険が効かないので、週1回しか打てません。痛みがよくなれば、徐々に注射の間隔を開けていきます。痛みがよくなると、自然に動く量も多くなるので、再発しないようにフォローしていきます。ヘルニアは椎間板が突出したものですが、一度出たものは引っ込みません。出たものが、小さくなることはありますが、元のさやに戻ることはありません。ちょっとでも小さくなれば、神経から離れることになり、MRIでヘルニアがあっても、まったく痛くない状態になります。そうなるのには、早くて数か月から半年、1年くらいかかることもあります。ブロック治療をすると痛みが軽減するので、仕事に復帰しやすくなり、日常生活でも活動が増えますが、初期のうちに動きすぎると、また神経が圧迫されて傷が再発することになりますので、しばらくは6割稼働が望ましいです。

下肢に麻痺が生じたり、排尿、排便障害などが生じたときは、手術になります。また、スポーツ選手など、長期安静が保てず、一日も早く完全復帰しないといけないときは、手術が適応となります。
しかし、ヘルニアの9割弱は切らずに治ると言われており、できるだけ保存的に(切らずに)治すのがいいかと思います。なぜなら、また将来ヘルニアは同じ場所や他の場所に再発する可能性があるからです。何度も手術することは、難しくなります。その時、では、今度は切らずにお注射で治しましょうと言われても、手術した場所にブロック治療を行うことも難しくなります。ですので、なるべく切らずに保存的にブロック治療で乗り越えていくのがいいかと思います。お薬も併用します。注射でだんだん痛みが軽減すれば、薬を服用することも減っていきます。

では、次は腰部脊柱管狭窄症の治療について述べますね。

院長 松永 美佳子